【映画感想】障害関係なく寄り添う努力がしたくなる作品だった – 聲の形

 『ガルパン劇場版』がハイエンド向け作品としては歴史的な興行収入を打ち出し、一般向けとしては『君の名は。』が連日話題となっている昨今。アニメ映画史の新時代を迎える中9/17に公開されたばかりの『聲の形』は流れに乗ることは出来るのだろうか。
 ということで『聲の形』を見て来たので簡単にレビュー。映画の革新的な内容も含まれると思うのでネタバレになるかもしれない。原作は漫画だが私は未読のため映画自体の率直な感想を書けると思う。また本記事では“障害者”という漢字、単語を用いるが、深い意図は無く便宜的であることをご了承いただきたい。
 ところでタイトルに使われている「聲」という見慣れない漢字は「声」の旧字体らしい。ビジュアル的に「蟹」か「茸」っぽいし「耳」の部分が目につき易しで注意が必要かもしれない。……はい。

 主人公(石田将也)は小学生期に学級に転校してきた先天性聴覚障害を持つ少女・西宮さんに対して直接的ないじめを行った。問題となり西宮さんは特別支援学校に転校するが、やがてそのいじめの矛先は将也自身に向けられる。高校ではクラスで浮いた存在となり、西宮さんに対しては罪悪感に苛まれていた将也は、西宮さんに会いに行く。
 鬱陶しさえ感じる“バッテン”(×)の描写は効果的だった。将也の幼さを端的に表現しているのだろうか。西宮さんに再び向き合うことで新たに生まれた“友達”。将也が彼らに教えられたのは「君を非難する人は誰もいないよ」、「自分が変われば良いよ」という事ではないだろうか。トイレの中で恐る恐る見上げて目に入った永束の顔に×は無かった。更に、小学生時に将也をいじめた元親友(島田、広瀬)と明確な和解の描写無しに最後の明滅シーンに二人の姿が見られたのは、その象徴だ。

 笑顔の書き方も少し新鮮で印象的だった。その意味は、将也にとっては特別であり、普遍的でもある笑顔なのか? 最後、直花が手話を交えて西宮さんと会話するシーンはぐっとくるものがある。彼らが手話と笑顔で交流する光景が目に浮かぶ。

 本作は将也の物語だと思う。西宮さんを通して将也は自身の生き方を変えて行く。そう考えると西宮さんは脇役と言えるし、暴論かもしれないけど、障害は物語に於いて二次的な要素と言える。障害が“友達”(関係)に作用する影響は一切ない。素直に共にいて笑い合いたいと感じる作品だった。
 次に西宮さんが“かわいい”という点(設定)はどんな意味を持つのだろうか。まさに視聴者に対する印象付けのためだと思う。西宮さんというある種の偶像を通して視聴者は障害を学ぶし人間の生き方を考えることができる。だから西宮さんが美少女であることの必然性はあるんじゃないかと思う。

 親が障害者の“子”に対して保護しがちであることは情の面から見て当然だし、尊重されるべきだと思う。
 しかし“親”である以上、その“子”への想いを突き詰めて見れば、障害者の親でも健常者の親でも根本的な差異は無いのかもしれない。作中では将也の母と西宮さんの母が互いに加害者、被害者のような形になったが、双方の想いが同程度であることを暗示しているのではないだろうか。
 もちろん、社会問題となっている虐待や心中などは許されることではない。一方で、罪を犯した親であっても、彼らが共通して持っている善なる部分を見出してあげることも大切なのかと、今作を観て感じた。

 最近話題の“感動ポルノ”は良いものとは思わない。作中の描写にもある通り、障害者自らも変わったり側に寄る努力が必要なのかもしれない。そもそも障害者を傷つけてまで募金をせがむ行為は非難されるべきだと感じる。“一方的”は情緒を産まず闘争を招来する原因となるだけだと思う。

 だから、私はこの作品が完璧とは言わないし、賛否両論あって然るべきと思う。
 個人的には実際に障害のある方々にも観てもらって意見を聞きたいと思った。そういう観点から考えても、最近行われている日本語字幕付き興行は大いに評価したいと思う。(深夜アニメの話になりますが個人的には製作キー局以外の、TOKYO MXやBS11などで放送される全ての作品で字幕放送が欲しい。海外では準サイマル配信で英語字幕付きの日本のアニメが見られるのに、日本語字幕は無いなんておかしいよ!)

 音響、音楽は割と独特だった。ノイズを入れたり場面に似つかわしくないポジティブなBGMを挿入したり。だが個人的には好みだ。やたらウーファーを用いない点でも、視聴者を圧迫して感情を強制しておらず評価したい。

 本記事の内容が無責任だと思われるかもしれないし良い印象は与えないかもしれない。でも寄り添う努力がしたくなる作品だったと感じたことは否定できない。ミーハーだがまずは手話を覚えてみようかなあ。

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