【映画感想】愛国。反戦。家族。心。 – アメリカン・スナイパー

 遂に映画にまで手を出し始めたhppyです。今回は2014年に米国で製作され、先月Blu-ray&DVDの販売と各レンタルが開始された「アメリカン・スナイパー」の紹介とか感想とか、なんか色々。

 ブラッドリー・クーパー演じるクリス・カイルの実話を基にした物語。原作はクリス自著の自伝。

心か、政治か

 政治的に中立を狙った本作品。コンセプトは良いが、一方でクリスや家族の心に焦点を当てる時間はもう少し欲しかった。作中でノイローゼ気味のクリスが息子と戯れる犬を過剰に攻撃したり、彼の第二子の病院内での待遇に異常な反感を見せたりと、「心」が戦場から戻っていない事を裏付ける描写は的確だ。しかし、例えば彼の子供達がその以上さについて心情的に訴え掛ける場面はもっと欲しかった。ただし、彼の息子や娘が年端もいかぬ子供であった為、描写のいささかの欠如は致し方ないようにも思われる。彼らがもっと父親を欲する年齢であったなら、そのアピールにより変わったかもしれない。
 また、当のキャンペーン内容である「政治的に中立」もすこし怪しい。9.11のテロのCNNのニュース映像は米国民のアイデンティティーを過剰に刺激しそうで怖い。
あと如何にもテレビ映像がはめこみ合成だと分かる処理が面白かった。

青天の霹靂

 映画の結末は衝撃的だ。4度の派兵から生還したクリスは、元海兵隊員の手助けをしようとするも、その張本人に殺害されてしまう。中東ではなく何故米国内で……。広がる動揺。殺害については映画の主題では無いため深く触れられていないが、葬儀が大々的に執り行われたことは映像を通して理解できる。
 この展開については各サイトなどで批評が散見されたような気がする(たぶん)。個人的には事実は事実として受け止めるべきで否定も肯定も値しないと思う。
 映像特典のメイキングとクリスの紹介映像によると殺害は製作期間中の出来事だった様だ。生前のクリスは製作陣や役者と直接語り合い映画製作に全面的に協力していた。ところがその最中での殺害。結果としてクリスが視聴者に真に訴えたかった内容が全て映画に反映されたとは考えにくいだろう。その無念さが映画全体に滲み出ているような気がした。

最後に

 思ったこと雑記。
 左から見ても右から見ても興味深い作品だった。戦争映画は真実を描き切ることで真価を発揮すると思う。その点、「父親たちの星条旗」でもそうだったように、クリント・イーストウッドが好む(?)ひたすらな戦闘描写こそ本作をヒットに導いたのかもしれない。
 クリスにはタヤや子供達といった家族がいる一方で、敵の狙撃手ムスタファにも同様に家族が居る。この描写は正義とは何なのかを訴えかけ、物事には二面性があることを的確に表現した描写だったと思う。

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